2021/12/02 09:10

リフォームで、機能的かつ暮らしが楽しくなるキッチンをつくるためには
住む人の生活スタイルを考えてプランをつくることが重要ですが
今日は「コミュニケーションを大事にしたいリフォームプラン PartⅠ」に続き
「二世帯同居など大家族で暮らすリフォームプラン」について
リフォーム事例を交えながらプランニングのポイントをお話しします。
【CASE2】
二世帯同居など大家族で暮らすリフォームプラン
東日本大震災をきっかけに、家族の絆やつながりを強く意識する人が増えたという調査結果がありましたが
そういった理由もあってか二世帯同居を前提としたリフォームにも注目が集まっているようです。
二世帯同居のスタイルは?
・キッチンや浴室などの水まわりから玄関まですべて分けた「完全分離型」
・玄関や浴室は共有するが、LDKを別々にする「部分分離型」
・すべての空間を共用する「完全同居型」 の3つに分けられます。
キッチンやダイニングは、家族の絆を深めるのに最適の空間となりますが
いま住んでいる家にもう一世帯が同居するためのリフォームでは
居住面積を増やすのが難しいため「完全同居」タイプのプランが多くなります。
ただ、完全同居といっても、一緒に住むのが、キッチンを共有することに慣れている「自分の親」世帯か
そうでないのかにより、キッチンプランの進め方が異なると思いますし「自分の親」世帯で結婚前に
ひとつのキッチンを使っていたのであれば「母・娘」それぞれの要望をまとめながら
プランを進めればよいでしょう。
一方、そうでない場合は、今までの生活環境がお互いに違うため
つくる料理や使う食器の種類、使い慣れている料理道具などもすべて違います。
ですから、設計の時には、そもそもの収納の位置から、そこにしまう物、キッチンの高さやコンロの位置など
細かい部分までお互いに確認し、検討しながら進めていきましょう。
そして、完全同居の場合、キッチンのプランのポイントは「広さ」と「高さ」「広さ」は
二人同時でも料理がスムーズに進むようにキッチンと背面にある壁や収納との間は110cm~120cmと
広めにスペースを確保しましょう。
また、食器や鍋など互いの持ち物を収納するために、収納スペースは多めにつくっておくとよいでしょう。
そして、注意したいのはキッチンの「高さ」です。
キッチンの高さが合わないと、料理や食器洗いなどの作業がしづらく腰や腕などが疲れやすくなります。
ですから、二人の身長がかなり違うときは、どちらに合せるかよく相談して決めましょう。
さらに、高さに迷った場合は「より多くキッチンを使う方に合わせる。」という考え方もありますが
キッチンのスペースと予算にゆとりがあれば、高さの違うシンクを2つ設けるという方法もあります。
二人の主婦が、ストレスなくキッチンを使えるようなプランが大事。
以前担当したお客様のケースですが、背が高い若奥様が高さ85cmのキッチンを
そして、背が低いお義母様が80cmのキッチンを希望されました。
お二人とも「キッチンをしっかりと使いたい」「大家族で洗い物が多いので、シンクが2つ欲しい」
などのご要望があったので、高さ85cmのI型キッチンを壁付けで設置し
シンクを備えた高さ80cmのカウンターをアイランドのように設けた2列型としました。
また、コンロは、I型キッチンの方に高さを5cm下げた80cmに設定
お義母様にとって以前と同じ高さで問題ありません。
若奥様にとっても、コンロ部分が低めの方がお鍋の中が見やすく鍋を振ったりまぜたりという作業も
腕が楽で大きな問題はないので、このプランにすることで解決しました。
このお客様の場合はキッチンスペースが約6畳と広めでしたが、これより狭いと高さの違うキッチンを
2つ配置するのは難しいかもしれません。
そんなときは、パーティーシンクを備えた小さめのアイランドカウンターを設ける方法もあります。
キッチンは毎日使う場所なので“二人の主婦”にストレスがたまらないよう
よく話し合ってプランを決めることが重要です。
どちらかの希望を優先させたばかりに「勝手に決められたから使いにくい」「本当は、これは嫌だった」
などの不満が残るリフォームにならないようにしたいですね。
リフォーム事例
3世帯8人の大家族が集まって語らえる、大きなオープンキッチンのあるLDKにリフォーム。
■暗くてあまり使わない通路のようになっている部屋がある
■家族や来客も多いし、食器もたくさん。キッチンはいつもごちゃごちゃしている。
■古い家なので部屋数が多い。暮らし方にあわせた部屋にしたい。
ポイント
3世代8人の大家族が集まって楽しく食事し、語らえる空間を目指しました。
使っていない部屋をダイニング・キッチンとつなげて一体感のあるLDKへリフォーム。
キッチンは曲線状のオープンキッチンを選択。
家族みんなでキッチンをぐるりと囲んで料理することもできます。
両側の壁には収納スペースをたっぷり確保し、大家族分の食器や買い置きの食材などもスッキリと収納できます。
完全分離型や部分分離型は、親世帯の方に二世帯全員が集まれる
広いダイニングを希望されるケースが多いです。
これは、子世帯の夫婦が仕事中の昼間、子どもが親世帯で過ごし
そのまま子世帯全員が夕食をご馳走になることが多いからといえますね。
では今日はここまで
最終回は【CASE3】これから夫婦二人の生活が始まる団塊世代のためのリフォームプラン
をお届けいたします。